事例紹介

インサイダー取引の調査を跳ね返す

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上場企業で取締役を務めていたOさん(63歳男性)は、20年以上にわたり、個人で株取引をしていました。ある一部上場企業に注目し、公開されている資料を元に財務状況や経営体質等を分析した結果、この会社が粉飾決算をしているに違いない、今後株価が下落するはずだと考えました。Oさんは、交際中の女性と一緒にこの会社の株の空売り(信用取引)を行い、1000万円以上の利益を得ました。
 
証券取引等監視委員会が、Oさんたちの平穏な生活を破壊しました。彼らは、Oさんがこの会社の関係者から情報を得てインサイダー取引をしたのではないかと疑いました。Oさんたちの自宅だけでなく、女性の勤務先まで捜索を行い、業務用のPCや私物を大量に押収しました。一週間にわたり、毎日金融庁に呼びつけ、朝から晩までOさんたちを取り調べ、執拗にインサイダー取引であると認めるように迫りました。
 
ある日突然捜査機関に呼び出され、繰り返し問いただされると、精神的にも肉体的にも疲弊し、身に覚えのないことでも自分が悪かったのではないかと思うようになります。認めないと解放してもらえないのではないかと思うようにもなります。捜査機関はそこにつけ込み、虚偽の自白を迫ります。Oさんたちも、インサイダー取引であると認めるしかないのではないかと追い詰められました。わたしたちは、証券取引等監視委員会に対して、Oさんたちにかけられた疑いが濡れ衣であること、今後一切取調べには応じないことを通告しました。一進一退の攻防の後、委員会からの呼び出しは一切なくなり、調査は終了しました。Oさんたちは委員会に告発されることもなく、逮捕されることも起訴されることもありませんでした。

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