事例紹介

覚せい剤密輸事件、ブランドミュール・ディフェンスで無罪

飛行機

 
飲食店でアルバイトをしていたA子さん(22歳)は、自称「実業家」から「香港にただで旅行しないか」「向こうで新しいブランドを立ち上げるために、現地の担当者に会って書類をもらってきて欲しい」と言われました。ただで香港旅行ができる上に、書類をもって帰るだけで小遣いを貰えるという話に、A子さんは飛びつきました。はじめての海外旅行でショッピングを楽しんで、羽田に降り立ち税関検査を受けたとき、彼女の人生は一変しました。現地ガイドから「実業家」へのおみやげとして渡された缶詰のなかから大量の覚せい剤が出てきたのです。
 
この事件は、国際的な麻薬密輸組織が日本の若い女性をターゲットにして、知らない間に「運び屋」にしてしまったというものです。その手口は非常に巧妙です。海外旅行の経験がない二十歳そこそこの女の子に近づき、「ただで海外旅行に行かせてあげる」などと言って誘い、彼女たちを香港やマカオなどに旅行に行かせます。現地に着くと「現地ガイド」が付き添い、商店街でお土産を買わせます。その後、食事などをしている間に、一味の人間がお土産の中身を覚せい剤にすり替えるのです。
 
A子さんの裁判員裁判で私どもは、麻薬密輸組織の手口を明らかにしました。香港の食料品店を突き止め、彼女の話の裏付けを取りました。組織が「ブラインドミュール」(盲目の運び屋)を利用する実態について、アメリカの元連邦捜査官の供述を裁判所に提出しました。検事はA子さんに懲役12年の求刑をしましたが、彼女は無罪となり、検事が控訴をしないまま無罪判決は確定しました。

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