事例紹介

盗撮の疑いをはねのける

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Bさんは、ある休日に家族でテーマパークに遊びに行きました。首から一眼レフのカメラを下げ、スマホも持っていました。一眼レフで家族の写真を撮ったり、スマホで撮った写真をインスタグラムに投稿したりしていました。
 
ランチの列に並んでいたとき、パークの職員がやってきてこう言いました。
 
「あなた、盗撮していただろう。ちょっと一緒に来て。カメラにもスマホにも触らないで。」
 
Bさんにはなんのことか分かりませんでした。パーク内の事務所で、カメラとスマホを取り上げられ、中身を見られました。しかし、盗撮らしい写真は出てきませんでした。「あんたが盗撮しているところを見た人が複数いるんだ。警察を呼ぶから。」職員はそう言って、警察を呼びました。Bさんはそのまま逮捕されてしまいました。全く見に覚えがないことでしたが、初めての取調べにうまく対応できませんでした。幸いにして、勾留請求は却下され、Bさんは1日で釈放されました。
 
われわれの方針は、「任意の取調べには弁護士の同席を要する。こちらの言い分は書面で提出する」というものでした。われわれは、Bさんと共にテーマパークを訪れて、当時の行動を再現し、写真を豊富に盛り込んだ供述調書を作成して検察官に送付しました。検察官は、取調べへの弁護人の立会を拒否しました。Bさんはわれわれの助言にしたがって弁護人抜きの取調べを拒否しました。
 
その後数ヶ月間にわたって、「早く不起訴の処分をしてください」「Bさん本人から話を聞かないとできません」「弁護士同席ならいくらでも話しますよ」「それはできません」というやり取りを何度も繰り返しました。
 
結局、Bさんは一度も検察庁に行くことなく不起訴処分を勝ち取りました。弁護人抜きの取調べに固執する旧態依然たる検察実務に一石を投じた事案でした。

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