2014年7月24日、国連の人権委員会(正確には「国際人権(自由権)規約委員会」Human Rights Committee)は、日本の人権状況に関して「Concluding observation」を述べた。

これについては、慰安婦のことについて人権委員会が指摘したということばかりが報じられているが、実際は指摘された項目は20項目以上の多岐にわたる。例えばアイヌ、琉球・沖縄の権利保護から、福島原発事故被害者の保護についてまで指摘されている。どうしてこういうことが報道されないのだろうか。 この「Concluding observation」については、日本がいきなり国連から不備を指摘されているかのような印象があるが、実際にはここにいたるまでには日本政府と人権委員会とのやりとりが重ねられている。 大まかにまとめると次のとおりである。

(1)2012年4月に、日本の人権状況について、日本政府が人権委員会に報告

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000023051.pdf

(2)人権委員会がこれを受けて、論点整理を行い、事前質問書を日本政府に提出

http://daccess-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G13/486/27/PDF/G1348627.pdf?OpenElement

(3)日本政府が質問に対して回答

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000031106.pdf

(4)Concluding observationの通知

http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CCPR%2fC%2fJPN%2fCO%2f6&Lang=en

 

この間、さまざまな団体が人権委員会に意見を述べたりしているので、結構複雑なやりとりがなされている。 とにかく、ここで言いたいのは、今回の人権委員会の見解は、決して「事情も知らない奴らが、日本にあれこれ注文をつけている」というような単純なものではない、ということである。日本政府側も、しっかりと反論の機会が与えられていた、ということは注意すべきである。日本政府が主張した点について、評価された点もいくつかあるし、全く説得力がないと一蹴されている点もある。

特に、代用監獄の廃止については、1988年から指摘され続けているのに、未だに廃止されていない。この点について、日本政府はなんと主張しているのか、というと、 ①施設の数が足りない ②増設には多額の予算がかかるのでできない ③関係者も代用監獄は便利だと思っている ということであるが、説得力があるだろうか。日本政府は、「お金がなくて人権が守れません」と言っているようなものである。 当然、人権委員会からは、この点について厳しく指摘されている。代用監獄が自白強要のために使われているのに、そんなことを理由に代用監獄を正当化するのは残念だ(regrets)と言っている。 この他にも、日本の司法についていくつか人権委員会から指摘されているが、個人的に興味深いのは、それらについての日本政府の主張が、まったく説得力がなく、こんな説明をしていれば指摘されるのも当然だということである。

 

確かに自分の国のことを外からとやかく言われるのは愉快なことではない。しかし、日本政府がしっかり反論したうえでもなお指摘されているという事実を重大に受け止めて、国民が議論を深めていくことが大切ではないかと思う。

2014年8月20日 岩佐政憲
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