ミシェル・オバマが、2017年1月6日、ファーストレディとしての最後の演説で語った言葉の中で、特に印象的だった言葉があります。「私たちの輝かしい多様性—宗教、肌の色、信条といった多様性は、私たちを脅かすものではなく、私たちを形作るものなのです。」(You see our glorious diversity- diversities of faith, colors and creeds- that is not a threat to who we are. It makes who we are.)
 私は、2014年夏から1年半の間、カリフォルニア州サンフランシスコ市に留学しました。サンフランシスコは、アメリカの中でも多様性に富む都市といわれています。その中でも、人種や国籍の面でみると、人口の3分の1以上を移民が占めるといいます。不法移民の排除を訴えるトランプ氏が大統領選挙に勝利した後、市の監督委員会は、そうした政策に抵抗することをいち早く決議しました。
 とはいえ、人種差別の問題は、自分が思っていた以上に根深く、多様な価値観をもつ人々が共生することの難しさを垣間みることもありました。そんな中で、現状を変えるために奮闘する、留学先の法律事務所の弁護士らの活動を目の当たりにしながら、他者に寛容な社会に身を置いて生活できたことは、何ものにも代え難い経験でした。
 同時に、「外国人」としての生活を通して、言葉や文化の異なる社会で生きることの心細さや苦労も実感しました。例えば、病気をして病院に行った時、保険制度の仕組みや難しい言葉がよく分からず不安でいっぱいの私に対し、医師や看護師が丁寧に説明し、励ましてくれたおかげで、どんなに心強く思ったか、今でもよく覚えています。
 日本における外国人定住者の数は、年々増えています。帰国して弁護士としての活動を再開した今、日本に豊かな多様性をもたらしている外国人の方たちの少しでも力になれるよう、より積極的に事件に取り組みたいと思っています。