無罪放免という言葉があるように、無罪判決が出たら自由になれるというのは常識ではないでしょうか。

ところが、この国ではこのような常識が通用しません。無罪になってもまだ自由を奪われるのです。

先日、裁判員たちはザニス・クレペキスさんに無罪判決を言い渡しました。しかしザニスさんはまだ自由の身になっていません。拘束されたままです。

ザニスさんは、自分の意思で日本から帰国しようとした時に、身に覚えのない罪で逮捕されました。そして1年半もの間、身体拘束され続けました。

ザニスさんは、日本には30日の短期滞在の資格で入国し、その期間内に出国しようとしたのに、身に覚えのない罪で逮捕されたのです。そして警察の留置場の中にいるうちに、この30日のタイムリミットは過ぎてしまったために、ザニスさんはオーバーステイ状態になってしまいました。

先日、東京地裁813号法廷で裁判長がザニスさんに無罪を言い渡した直後、われわれとザニスさんが固い握手をしている最中、われわれの間に割って入るように入管職員がやってきて、ザニスさんをオーバーステイの容疑で連れて行ってしまいました。ザニスさんは今、入国管理局に収容されています。

ザニスさんはビザの期限内に日本を出国しようとして、国家が誤って勝手に逮捕したために在留機嫌が過ぎたにもかかわらず、今オーバーステイだとされているのです。

それだけではありません。検察官は無罪判決に対して控訴をし、高等裁判所に対してもう一度ザニスさんを拘置所に勾留しようとしました。無罪だと言われているにも関わらず、もう一度勾留しようとしたのです。この検察官の要求に対しては、裁判所はザニスさんを勾留しないこととしました。これはとても画期的なことです。しかし考えてみれば当たり前の話です。

われわれは、1年半かけて無罪判決を勝ち取ったにも関わらず、ザニスさんと祝杯をあげる機会も与えられませんでした。私は一日も早く、このような「無罪放免されない」という非常識な制度が改善されることを願っています。

2012-03-16 20:43 | 趙 誠峰